パークゴルフ｜消えゆくパークゴルフ場？

　パークゴルフ場の閉鎖が道内で相次いでいる。定年延長などによる働くシニアの増加や新型コロナウイルス禍で競技離れが進んだことが背景にあるとみられ、昨年度は少なくとも5カ所が閉鎖した。

　日本パークゴルフ協会の道内の会員数は、ピーク時に比べ約7割も減少。約40年前に道内で生まれ、かつては各地で競うように造成されたパークゴルフ場は、今後も減る可能性がある。

定年延長　遊ぶ暇なく

　「20年前のピークは1日約150人来ることもあったが、昨年は3分の1ほどになっていた」。札幌市南区で農園を営む篠原洋一さん（68）は昨年、園内のパークゴルフ場を閉鎖した。

　果樹園内にある珍しいコースを開設したのは27年前。かつては定年退職した高齢者らでにぎわったが「定年が延びて今の高齢者は働いている。平日に遊ぶ暇がない」（篠原さん）。コロナ禍で利用者が急減したことも響いたという。

　パークゴルフは1983年に幕別町で生まれ、道内外に広まった。90年代後半から2000年代初めに、健康増進や地域活性化を目的に、道内の多くの自治体や企業がパークゴルフ場を次々に造成した。

　日本パークゴルフ協会（十勝管内幕別町）によると、道内の公認コースは2016年のピーク時に196カ所あったが、今年4月時点で169カ所になった。昨年度は非公認コースを含め、札幌、旭川、函館、千歳、恵庭の5市にある計5カ所が閉鎖した。

　閉鎖した5カ所はいずれも民間が運営するコース。同協会は「利用者の減少で民間は採算がとれなくなっている」とみる。利用料を値上げしたくても、格安の市町村の公設コースに利用者が流れるため、値上げできない事情もあるという。

今年営業終了のコースも

　江別市の民間コース「えべつ角山パークランド」は11月に営業を終える。2010年前後は1日約300人が利用したこともあったが、今は半分程度の日も。運営会社の社長は「今後の需要を見込めない」と閉鎖の理由を語った。

　公設コースも利用者減の傾向は同じだ。恵庭市の市設コース（計5カ所）の23年度の利用者数は約3万2千人で、6年前に比べても3割近く減った。16年度には1カ所を閉鎖している。

　恵庭市内のパークゴルフ場でプレーを楽しんでいた江別市の片桐正裕さん（64）は「昔は駐車場がびっしりで、打つのも順番待ちだった」と振り返るが、今はそうした光景はほとんど見られない。

　かつては定年を迎えた55歳ごろから競技を始める人が多かったパークゴルフ。ただ、総務省の労働力調査によると55～64歳の就業率は65歳までの継続雇用が義務化された2013年から急増し、23年には13年比12ポイント増の78.7%になった。その一方で日本パークゴルフ協会の道内会員数は減少。2008年は4万7千人だったが、2024年は1万2千人と7割も減っている。

　ニッセイ基礎研究所の前田展弘上席研究員はシニア層について「仕事に使う時間が増え、余暇活動の時間が減少している」と分析する。

　日本パークゴルフ協会は道内各地で初心者講習などに努めており、坂井康悦事務局長は「少しでも競技人口が減るスピードを抑えたい」と話している。