
上げボールの科学(数学)
ショットをする時、基本的に円運動をすると考える方が伝わり易いのでそれで説明します。
今回はこのプレーヤーで考えます。クラブは両肩を結ぶ線の中心(あごの下)からクラブの底までで考えます(オレンジの線)。
このプレーヤーは図の線の長さが120cmとしました。
この長さは身長や打つ姿勢によって異なりますが、それは後で紹介します。
円と水平距離
今回は、円運動の半径をクラブの先までの120cmとし、クラブヘッドが円弧上を動くと仮定して計算します。
1 クラブヘッドの軌道は、半径R = 120cmの円としてみなします。
2 ティーショットで、ボールの位置は体の真正面から左へ30cmの点にあるとしています。
3 最低点(円の一番下)のときのクラブヘッドの最下端から水平に左へ30cm移動したときにクラブヘッドがどれだけ上昇しているかを求めます。
図では赤の線、これだけ移動したら、クラブの底は何センチ上がるかで考えます。
ここでは、円の一部が水平線に接している状況を考えます。以下のように考えます。
数学的分析
興味の無い方は飛ばしてください。
・半径 R = 120cm の円があり、水平線(たとえば y = 0)に下部が接しているとします。
・このとき、接点は円の最下点となり、座標 (0, 0) とおきます。
・円の中心は接点の真上にあり、(0, 120) に位置します。
・円の方程式は
x² + (y – 120)² = 120² = 14400
と表されます。
接点 (0, 0) から水平(左方向)に 30cm 移動したときの、円周上の点の高さ(y 座標)が水平線(y = 0)からどれだけ上にあるかを求めます。
水平座標 x = –30(左方向なので負の x と見る)とおきます。
【計算】
円の方程式に x = –30 を代入します。
(–30)² + (y – 120)² = 14400
900 + (y – 120)² = 14400
(y – 120)² = 14400 – 900 = 13500
y – 120 = ±√13500
√13500 = √(900×15) = 30√15
下側の弧(接点に近い部分)を考えるので、y – 120 は負となります。
y – 120 = –30√15
y = 120 – 30√15
√15 の数値は約 3.873 なので、
30√15 ≈ 30 × 3.873 ≈ 116.19
y ≈ 120 – 116.19 = 3.81 (cm)
図ではPQの長さが、クラブが浮いた距離です。
つまり30cm左(図では右)に振ると、クラブの底は3.81cm浮くのです。
そしてこの時、クラブフェイスは上を向いているので、そのままボールに当たればボールは上方向に飛び出します。
また、この方向のまま飛び出せば、ボールは10mでどれくらいの高さになるかを計算すると
30(cm):3.81(cm) =10(m):h(m)
から算出して h=1.27mになります。
つまり10m飛ばすと1.27mの高さに上がるということになります。
20m先では3.52mになるというのが計算によって導かれます。
しかし、空気抵抗や地球の引力があるので、そう簡単には行きません。それでも50cmくらいにはなるでしょう。もちろん、打つ強さにもよりますが。
結論
整理します。計算の部分は見る気がしなくても、ボールが上がるという理論は理解してもらえたと思います。
そんなに高く上がらなくても、芝の影響を受けなければ、飛距離も出る訳ですし、使うべきでしょう。
ただし、この方法でボールを打つ時、ボールを迎えに行ってはいけません。
1 アドレス時にはボールより30cmほど右側に体の中心を置く
2 クラブの底をグランドにつける
3 体重は移動せず、頭の位置をそのままにして、ボールを打つ
4 身長が低い方は、ボールとの距離を少し短くしてみてください(5cmずつ)
これで間違いなくボールは上がります。
間違っても、この画像のように重心を移動してはいけません。クラブフェイスが上を向かないのでボールは上がりません。

重心が移動しないように意識するには『頭を動かさない』と意識すればできます。よい結果がでることを願っています。
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